けんぴあブログ

自然体で生きる

『ようこそ、わが家へ 』を読んだ 感想

池井戸潤さん原作のテレビドラマを何作か観ましたがどれもハマり、以前から原作も読んでみたいと思っていました。

最初に選んだのが、テレビドラマ未視聴の中から『ようこそ、わが家へ』で、ほっこりするイメージのタイトルに惹かれ購入しました。

社会生活に於いて、理不尽だなと思うことは度々あります。

例えば、職場では本編に登場する真瀬部長のような人が、自分の嫌いな奴には、「嫌がらせ」「無視」「相手がミスをするように誘発したり」「相手を悪者に仕立て上げて自分の立場を確保したり」と悪事を働く。本当に苛々しい。

それで辞めていくのは真面目に働いている社員の方だという状況。そのことに経営者は気づかない。気づかないどころか持川社長のような三流経営者は、間瀬部長のような人間を誤信している。

真面目に働いている人間が辞めざるを得なくなり、悪事を働いていても要領よく立ち回る人間はのうのうと会社に残っている。
まったく理不尽な話である。

わたしは身をもって経験をした。

もちろん全てではないが、おめでたい経営者は結構いるものだ。経営者というのは社内の真実を知ることが出来ないものなんだなと気の毒に思う。


もうひとつ、電車の中での迷惑行為に対してはどうだろうか。

多くの人が「注意した方がいいんじゃないのか⁉」と思う場面に一度くらいは出くわしたことがあるのではないでしょうか。

正義感をもって対峙していけるだろうか。正直、わたしには行動に移せる勇気はない。自分は人との争いが苦手で、自己主張せずに我慢してしまおうという性質なので、「見て見ぬふり」をしてしまったり、巻き込まれないように、事なかれ主義的になってしまうだろう。

主人公の倉田太一も真面目で温厚、争いごとが苦手で頼りない性質の男である。幸せに家族と暮らしている。家族との繋がりがとても素敵です。 しかし、世の理不尽な悪に巻き込まれてしまった。誰にでも起こりうる話である。そして倉田は、その理不尽な悪に対して立ち向かう話になっている。感情移入してしまった。

わたしはこの本のようにトラブルに巻き込まれてしまうことを考えると、やはり、理不尽なことを言ってくる相手に対しても、反論することはせず、その場から立ち去ってしまうと思います。「正しい事さえしていれば、いつか必ず報われる」そんな価値観は、このご時世、残念ながら持てません。
自分らしい生き方をあらためて考えさせてくれる一冊だと思います。