『コンビニ人間』を読んだ 感想
『コンビニ人間』という書籍タイトルを見たときに、コンビニのヘビーユーザーの話を想像していました。
例えば、家電オタクのように店員に引けを取らないくらいコンビニ商品に詳しかったり、商品の陳列場所まで把握しているなど。
しかし、読んでみると、決して的外れではなかったが、主人公コンビニ人間が客ではなく店員側だとは、まったく意表をつかれました。
主人公コンビニ人間の恵子はコンビニで働き続けるために「普通の人間」を演じているという。
でも、そもそも「普通」とは何か、多数派に居ることが「普通」なのだろうか。その人の価値観なのだから、人によって異なるだろう。よく「普通は○○だろう」と自分の普通や常識を押し付けてくる人が少なくない。わたしの周りにも居る。
恵子は36歳独身、コンビニでアルバイトをしているが、それが普通ではないというのだ。
何が普通ではないというのか。様々な業務があるコンビニの仕事は傍から見て大変だろうなと常々思っていました。
わたしに務まる自信はない。恵子は立派に働いていると思う。
中でも印象に残ったのは、恵子には、健康な状態で出勤するための自己管理の心構えがある。
共感を覚える。わたしもそのような気持ちで昔も今も働いているからである。
自分の普通や常識だけで人を判断するような人間にはなりたくない。
恵子よりも、周りの人たちのほうが余っ程、非常識だと思う。
「常識」は、数年後、数十年後には塗り替えられてしまう場合もあるでしょう。
自分の物差しで他人を測って騒ぐ人より、わたしはマニュアル通りに社会の歯車の一部として働く方を選びたい。
とても読みやすい本だと思います。周りの人が気になってしまう方には、とくにおススメです。